春の異動時期が近づくと、地方公務員の職場には独特の“そわそわ感”が広がります。希望を出しても通るとは限らず、異動先のひと言で数年間の働き方が大きく変わってしまう。私もかつて、異動の辞令を受けたとき思わずため息をついたことがあります。
今回は、そんな私の異動経験から、「ただの仕事」が「キャリア」に変わったと実感できた瞬間についてお話しします。
与えられた異動に、意味なんてなかった
異動は制度で与えられるものであり、「やらされている感」が強くなりがちです。私もまさにそうでした。特にある部署では、未経験かつ苦手意識のある広報誌の担当を任されたことで、不安とプレッシャーでいっぱいの日々が続きました。
「自分には向いていない」「前の部署の方がよかった」と思いながら、ただ必死に締切と格闘していた毎日。そんなある日、違う課の上司からかけられた一言が、私の意識を少しだけ変えたのです。
「今の仕事、松永くんの“これまで”を活かせると思うよ」
気づいたのは“点と点がつながる”感覚
それからしばらくして、ふと気づいたことがありました。大学で学んだ国語の知識や、学生時代のバイトで培ったコミュニケーション力が、今の仕事に生きているのではないか──。
「ゼロからのスタート」だと思っていた異動も、実はそれまでの経験が確かにつながっていた。そう感じたとき、ただの仕事が“自分にとって意味のあるもの”に変わった気がしました。
キャリアは異動の中に宿る
現在、私は7つ目の部署で働いています。16年目で7カ所。比較的異動が多い方かもしれません。でも、今ならはっきりと言えます。
たとえ望んでいない異動だったとしても、意味づけ次第でそれは“学び”や“気づき”に変わる。地方公務員として働く私たちは、異動によって多様な視点や価値観を手にする機会があるのです。
「いま」の経験も、未来に必ずつながっていく
目の前の仕事にモヤモヤしている方へ。今はそう感じていても、その経験は必ずどこかで役に立ちます。私も過去にはどん底を味わったことがあり、その日々を完全に消化できているとは言えません。
でも、起こった出来事は変えられなくても、受け止め方は変えられる。どんな経験も、いつか「自分だけのキャリア」を形作ってくれると私は信じています。
おわりに
異動によって見える景色が変わっても、自分のキャリアをどう描くかは自分次第。全く同じキャリアを歩む地方公務員は存在しません。それだけで、あなたは唯一無二のキャリアを歩んでいます。
これからもCivireerは、地方公務員として働く皆さんの“歩み”に寄り添いながら、キャリアという名の“地図”を一緒に描いていきたいと考えています。
📎 この記事はnote記事をもとに再編集しています。
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